AUDIOSTATION第1回試聴会[レポート] 第二部 アナログアーカイブ デジタル処理編 with KRYNA 6月26日(日)PM 2:00~

昨日に引き続き東京都町田市のKRYNAショールームにて試聴会を実施いたしました。
本日のお題は「アナログ・アーカイブ*¹」です。
これは準備段階からいろいろいきづまって困難を極めました。

 

■難しいところその1

「Vinyl Studio」というオーディオインターフェイスソフト。昨年PS AudioのNPC発売に沿ってwindows版を入手、しかし全然うまくいかず結局目標のアナログアーカイブできず。ただ、後で知るのはその当時は結構不安定だったようです。
そして、今回の試聴会を機会に再チャレンジ。
バッファーの処理がうまくいかずエラーを起こすことがたびたび、のちに解決。一番の問題はデジタル出力ができないと思ってモニター音がMac本体出力しかないと思っていました。しかし、USBデジタル出力ができることがわかり、ハイサンプリングでのストリーミング再生が可能でありました。

■難しいところその2

RIAA EQカーブの時代のものでも他のカーブによるのほうがレンジバランスが整っている場合が多い。たいていRIAAカーブはレンジが狭い印象。対してANGEL、Pacific Jazz、Victor4はワイドレンジ感が強くなります。
また、FFRR、Oiseau-Lyreは高域特性が大きく上がります。その結果レコード各々に対して適正なカーブを選択する必要が出てきます。そこで事前準備としてデモをする予定のディスクに対して適切なカーブの選択を行います。

ところがAUDIOSTATION事務所システムにてベストと思われたEQカーブがKRYNAシステムでは予想外の音となってしまいました。KRYNA試聴室システムではまた別のEQカーブとのマッチングがよかったりするわけです。つまり、EQカーブ自体の個性がしっかりしているので元のレコードの音に加えシステムの再生音でも大きく変化するものであったのです。したがって再生環境も含めベストなものを追うことも可能としているわけです。

こういったことで、搬入時にKRYNAメンバーにもいろいろ聴いていただきKRYNA試聴室におけるベストEQカーブの準備も必要となりました。
ベストEQカーブの音はそれはそれはダイナミックレンジの広い、切れ味の鋭い音となったのは言うまでもありません。

さて、試聴会の時となりお客様も続々と来店、昨日より3名多い参加者となりました。アナログブームということですね、関心も高いことが伺えます。

さて、試聴会のはじまりはじまり、今日のシステムは下記のとおりです。

・レコードプレーヤー;Scheu Analog CELLO
・カートリッジ;Shelter MODEL901 MK3
・フォノアンプその1;PS Audio NPC ( Nuwave Phono Converter)
・フォノアンプその2;M2Tech JOPLIN MK2
・DAコンバーター;Chord DAVE
・プリアンプ;KRYNAオリジナル
・パワーアンプ;KRYNAオリジナルモノパワーアンプ×2
・スピーカー;KRYNAオリジナル DUET104

まずは例のよって本日の全体の流れの説明をしますが、基本がフォノアンプがデジタル処理をすることによる優位性という難解な内容。まずはPS AudioのNPC ( Nuwave Phono Converter)を使用して何曲か紹介しながらデジタル処理による説明を加えます。再生音は極めて自然でデジタル処理をしていると説明しない限り全く意識をすることはないでしょう。ただ、デジタル出力を持っているということが他と一線を介します。

IMG_6727

そしてM2TECH JOPLIN MK2のお時間に。
システム配線が変わります。JOPLIN MK2はアナログ出力が一切ないのでデジタルアウトをするわけですが今回は384kHz/24bitを目指すのでTOSLINKとSPDIFは不可。384kHz/24bit出力は可能とさせるにはUSB出力させないといけないのです。しかしそのままではTYPE B→TYPE Bとなってしまうのでこの方法が必要になります。

JOPLIN MK2→Mac mini→Chord DAVE

Mac miniではVinyl Studioを立ち上げ、Input DeviceをJOPLIN MK2、Playback DeviceをDAVEに指定します。つまりアーカイブ作成のモニターシステムという感じになるわけです。

再生前に予習です。EQカーブの種類と背景を説明します。今日のお客様はしっかり聞いてくれます。そしてここはKRYNA、比較試聴は例によって Linda Ronstadtの「What’s New」です。

まずはFLAT、EQ処理しない音でびっくりしていただき(こんなシャキシャキなのかという音)、RIAAカーブを聴いてもらいます。そこから Angel、Columbia、FFRR、Captailと聴いていただき、特にお気に入りを決めてもらうということでなく、重要なのはカーブによりこんなに音が違うということです。今度は違うレコードを用意して同じようにカーブによる音の違い、先ほどの選択肢が他では違うということを確認してもらいます。そしてアーカイブの実演をします。

といっても今回の再生システムでものままアーカイブの準備ができているわけで、あとは実際にrecordするだけです。Vinyl Studioではまずはrecordの情報を入れる必要があり、artist、album titleなどの入力をし、これがファイルデーターとなります。あとはrecordのボタンをクリックし、レコードを再生、片面が終了したら、いったんrecordを切ってレコードを反転、もう片面を同じ要領でレコードします。終了したらsplit tracksを開けてトラックごとに区切り、track titleを入力し、いったんメモリー、そしてsave tracksで書き込みする、という手順になります。384kHz/24bitでアルバム1枚収録すると約8G byteという巨大なファイルが完成します。( CDリッピングならだいたい500Mで約16倍のデーター量です。)

というわけで本日の大命題は終了。お分かりいただけましたでしょうか。

ここでリクエストが入り昨日のリッピングによる音の違いを再度デモしてほしいとのことで、その内容に加えて同じMacでもMac Book ProとMac Miniによる音の違いもデモ。

ここも比較曲はLinda Ronstadtの「What’s New」ですが、なぜ同じMacで音が変わるのでしょうか。正解はディスプレイですね。Mac Book Proは一体なのでどうしてもディスプレイノイズの影響をもろに受けます。対してMac Miniの場合はHDMIを使って本体から分離するのでこういう結果となるわけです。

その他、いろいろ質疑応答しながらまたまた午後6時を廻ってしましました。今日も延々4時間試聴会となりましましたがなんと終了後お客様全員撤収を手伝っていただいてしまいました。あっという間に片付いていつものKRYNA試聴室に戻り試聴会はすべて終了、皆さまお疲れ様でした。

また、何か題材を探してやりましょう。日進月歩のこの世界、次々出てきますよ。

アナログ・アーカイブ*¹
アナログレコードの音源をデジタルファイルにすること。手順は本文に書いた通りですが専用のPCソフトが必要になります。
今回はVinyl Studioを使いましたがフリーのAudacityというオーディオインターフェイスソフトもあります。
Vinyl Studioを選択したポイントはソフト上でトラック分けができるということで、ファイルを曲ごとにわけることができます。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です