AUDIOSTATION第2回試聴会[レポート] 「新時代のアナログレコード再生」 in クリアサウンドイマイ 8月6日(土)/7日(日)
今回の試聴会は富山です。会期中は富山まつりも行われており町が盛り上がっておりました。
しかし私はマイペースにここのところすっかりアナログレコードづいてクリアサウンドイマイさんも説き伏せてレコード試聴会、しかもEQカーブがらみのわずらわしいやつです。事前にいろいろ電話で説明させていただきましたが電話じゃあわからないですよね。ご迷惑をかけて申し訳ございませんでした。
前日5日(金)にセッティング、選曲の準備などでお伺いいたしました。機材をセッティングして、ようやく試聴会の企画内容を理解していただきました。
そこからお客さんに連絡とってお誘いしていただき、お手数をおかけいたしました。
到着時にはかなり下地を作っていただいたので比較的準備は早くでき、事前にレコード試聴が十分できました。今回はENZO j-Fi LLCさんよりレアなコレクションも用意いただきました。1950年代のオペラなど今井社長お涙のアルバムもありました。
しかし、再生音の素晴らしいこと、気が付いたら閉店時間の19時となってしましました。私のコレクションではTaylor DayneのEP盤、Flashdanceの12inchシングル、Rickie Lee JohnsのPiratesのアルバムが溢れんばかりの情報量を放出、未だ聴いたことがない壮絶な音を再生してくれました。
そして今回のシステムは下記のとおりです。
レコードプレーヤー;Clearaudio PERFORMANCE DC TYPE S
カートリッジ;ZYX R100YATRA
フォノアンプその1;PS Audio NPC ( Nuwave Phono Converter)
フォノアンプその2;M2Tech JOPLIN MK2
DAコンバーター;Chord DAVE
プリアンプ;Electrocompaniet EC4.8
パワーアンプ;Electrocompaniet AW180 モノパワーアンプ×2
スピーカー;Penaudio SARA S
さて、8月6日(土)、富山は朝から絶好調、32℃です。
はたしてどのくらいお客様が来てくれるかな?店の方々は全く予想がつかないとのこと!朝はOlivia Newton-Johnでも聴いてみるかな?
そして開始30分前、ぽつぽつといらっしゃいました。
結局13:30の会は4名でスタート。例によって本日全体の流れを説明、まずはレコードプレーヤー。ドイツブランドでコストパフォーマンス抜群のClearaudio、再生用はPERFORMANCE DC TYPE S(これで \ 468,000也)。
また、ベーシックモデルのCONCEPTも展示、これはMMカートリッジ付きで \ 198,000という値ごろ。
また、今回のフォノアンプはいずれもデジタル出力を持っているということでデジタル再生、アーカイブの発展性があると説明し、PS Audio NPCで2曲案内、今回はすべてデジタルアウト、DSD singleとPCM 192kHz/24bitでの比較試聴をしていただきます。
そしてM2TECH JOPLIN MK2のお時間に。
今回も前回KRYNAでの試聴会と同じですJOPLIN MK2はアナログ出力が一切ないのでデジタルアウトをするわけですが今回は384kHz/24bitを目指すのでTOSLINKとSPDIFは不可。384kHz/24bit出力は可能とさせるにはUSB出力させないといけないのです。しかしそのままではTYPE B→TYPE Bとなってしまうのでこの方法が必要になります。
[JOPLIN MK2→Mac mini→Chord DAVE]
Mac miniではVinyl Studioを立ち上げ、Input DeviceをJOPLIN MK2、Playback DeviceをDAVEに指定します。つまりアーカイブ作成のモニターシステムという感じになるわけです。
念のためサンプリングレートによる音の違いを確認していただきます。44.1kHz/16bit、ハイレゾの大道192kHz/24bitと出力を替え、384kHz/24bitに替えます。やはり384kHz/24bitは別世界であることが確認いただけました。
さて、本題のEQカーブの必要性と歴史を説明、アナログカーブの資料も用意しました。1954年に規格されたRIAAと他のレーベルEQカーブの図を確認してもらいます。
RIAAを基本にEQカーブを確認していただきます。20Hzで20dB持ち上げています。200Hzでも8dB持ち上げます。また、20000Hzで20dB減衰させています。FFRRですと20Hzで12dB持ち上げており、200Hzで7dB持ち上げますが、20000Hzでは16dB減衰させています。図から、アナログレコードのカッティングがどうなっているかがわかります。また、各オリジナルEQカーブというのは小さな差ではないことも大変よくわかります。
1枚再生します。まずはFLAT、EQ処理しない音でびっくりしていただき(こんなシャキシャキなのかという音)、RIAAカーブを聴いてもらいます。推奨カーブに変えます。音のトーンが大幅に変わります。全般的にRIAAカーブはダイナミックレンジは狭め、その分サウンドエネルギーは控えめになります。
たぶん無難にひずみにくいところを狙ったのではないでしょうか。
したがってかけるレコード、かけるレコードでオリジナルEQカーブのほうがダイナミックレンジが広く表現力が上がります。そして最近私が気を遣うようになったのはgain levelの設定。今までは無難なレベルメーター50程度にしていたのですが、最近は思い切ってpeakの80ぐらいまで振れるぐらいに大きくします。明らかに情報量が増えます。お客さんもよく理解していただけた感じがします。
最後はアナログ・アーカイブ*¹の実演をします。
といっても今回の再生システムでものままアーカイブの準備ができているわけで、あとは実際にrecordするだけです。Vinyl Studioではまずはrecordの情報を入れる必要があり、artist、album titleなどの入力をし、これがファイルデーターとなります。あとはrecordのボタンをクリックし、レコードを再生、片面が終了したら、いったんrecordを切ってレコードを反転、もう片面を同じ要領でレコードします。終了したらsplit tracksを開けてトラックごとに区切り、track titleを入力し、いったんメモリー、そしてsave tracksで書き込みする、という手順になります。384kHz/24bitでアルバム1枚収録すると約8G byteという巨大なファイルが完成します。( CDリッピングならだいたい500Mで約16倍のデーター量です。)
アナログ・アーカイブ*¹
アナログレコードの音源をデジタルファイルにすること。手順は本文に書いた通りですが専用のPCソフトが必要になります。今回はVinyl Studioを使いましたがフリーのAudacityというオーディオインターフェイスソフトもあります。Vinyl Studioを選択したポイントはソフト上でトラック分けができるということで、ファイルを曲ごとにわけることができます。
しかし、今回はあまりアーカイブの出来はよろしくなかったなぁ。
原因はわかっています。
DELAとMacのダイレクト接続が不調で、ネットワークを経由したこと、多少音質は劣化しますね。これは私がWMR-433Wの使用法を熟知していなかったのが原因です。もっと勉強しないと。
こうして第1回目は終了しました。大体こんな感じで2日間、都合4回実施しました。8月6日2回目と8月7日1回目は10名以上おいでいただき、最終回は若干少なくなりましたが合計34名おいでいただきました。
お客様の目的もいろいろあったようで、CHORD DAVEは富山初登場だったようで、これを目的にされた方もかなりいらっしゃいました。
もちろんアナログブームと呼ばれる時世でレコード試聴が目的だった方は多かったようです。
「こんなぺらぺらなドーナツ盤からこんなすごい音が出るとは思いもしませんでした。」
この感想は一番うれしかったですね。まずは昨今のアナログブームではマスコミのインタビューで「レコードのやわらかい音が好きです」などと取り上げられていましたがレコードの本当の音はそんなものではない!ハイレゾをはるかに凌駕した音が再生できるのです。しかし、CDを再生するのとはわけが違いプレーヤーのセッティングは高い技術が必要、関連の機器も良いものを使用しないと「やわらかい音」なんてものになってしまいます。
また、最近のブームで新規発売されるレコードが重量盤ばかり。「高音質」を代名詞にするには厚い盤でないと溝に情報が掘ることができない、と間違った解釈が定着しているようです。しかし、今回おいでいただいたお客様はレコードの真相、真髄を理解していただけたと感じました。
また、アナログとはいいながら半分はPC Audioの世界になっています。Mac MINIとMac Book PROの音の違いは口頭で説明しましたが、こんなことも重要なのです。
また、現在最強のUSB接続はAurorasoundのBuspower Pro2+USB-NPLで理論的にもUSBケーブルのBUSノイズ対策が完璧なわけです。加えてDC入力にはifi AudioのDC iPurifierでフィルターもかけました。
当然今回のシステムでも使用していたわけですが、ちゃんとここにも注目してくれる方がいらっしゃるんですね。加えて前回試聴会からの流れでKRYNA D prop ExtendをDAVEとM2TECHの下に使用していたのもさりげなく注目されていました。
こういう積み重ねが今回の音を創ってくれたわけです。いやいや自分でやりながら素晴らしい再生音でした。
さて、この余韻を味わいながら東京に戻ります。
途中のお楽しみ諏訪湖、水門のウナギが売り切れという絶句のアクシデントもありましたが無事戻りました。
事務所のシステムも久々に復帰し、さぁ、富山のサウンドを再現しよう!とやってみましたが、ムムム、違う!ここでPenaudioのスピーカー、Electrocompanietのアンプの実力を知るわけです。
特にスピーカーはうちのはFOSTEXのG1001だからね、箱の大きさ、ウーファーの口径も違うわ。FOSTEXも十分実力があるけどね。そしてJorma Designのケーブルも効いてるに違いないな。と、オーディオの奥の深さを再認識するわけです。
しかし、わが事務所の音も相当良いぞ!